中国労働法セミナー「労働紛争の法的解決」セミナー

昨日、平成22年3月11日(木)に、愛知県弁護士会主催の中国労働法セミナー「労働紛争の法的解決」セミナーに参加してきました。

セミナーといっても、リソース・パースンとしてではなく、勉強する側で参加させていただきました。仕事柄、多くのセミナーに参加させていただきますが、非常にためになります。

さて、今回は上海にある法律事務所「錦天城法律事務所」のシニアパートナーである李培良弁護士が講師として招かれました。

テーマは主に以下のとおり。

1.中国労働争議の現状
2.中国労働争議解決に関する法律源泉
3. 労働争議解決のプロセス
4.実務事例の紹介

日本でも労働紛争の案件数は上昇していますが、中国では、1995年には3万件、2006年には31万件、2007年には35万件、2008年には69万件と倍増しています。特に、労働契約法の施行後が急増しているようです。

特に印象に残ったのは、やはり事例の部分です。

現在訴訟の前の段階の、仲裁には、2008年5月より仲裁費用が一銭もかからないとのことです。
このため、「ダメもと」覚悟で、不利であっても(法律の素人の私からみても、それは認められないのじゃない?と思える項目でさえも)、コストがかからないので、とりあえず仲裁裁決のテーブルにのせようとする個人が非常に増えきているそうです。

一時のブームは過ぎ去ったにしろ、中国進出を図る企業はまだまだいらっしゃいます。

海外進出の際には、コンプライアンスをきちんとするためにも中国の労働法規の理解が求められていると痛感いたしました。または、自分で理解するのが難しい場合、現地法律の専門家との顧問契約が求められていると思います。おそらく信頼できる専門家に依頼するほうがよいかと思われます。

なお、法律の源泉については、以下のとおり。
1.中華人民共和国憲法
2.労働法規 「労働法」「労働契約法」「組合法」「労働紛争調停仲裁法」
3.労働行政法規 :「工傷保険条例」「企業労働争議処理条例」などなど
4.労働規章(国務院各部門による):「労働部労働契約制度実施に関する若干問題の通知」など
5.地方性労働法規(各地方政府による):例)「上海市工傷保険実施弁法」など

5.にいたっては、各地方自治体により指導意見が異なる場合があり、やはり現地法律の専門家の活用を考えたほうがよいかと思われました。

いずれにしても、マネジメント上、就業規則をどのように定めるかという点が非常に重要になってくるかと思われます。これについても、現地の専門家と、解釈のわかれることのないよう、法令順守された規則を作られることが重要かと思われます。

弁護士の顧問契約は、各法律事務所および担当弁護士の経験・スキルによって変動するようですが、政府指導価格があるそうで、タイムチャージの場合3000元@時間程度だということです。また、訴訟については、各法律事務所ごとに異なり、成果報酬式のものや、そうでないものがあるようで、争われている金額の何十パーセントということになっているようです。

就業規則についてや、これもケースバイケースですが、何千元~1万元ぐらいの間だそうです。

信頼できる法律事務所をご選定されるのが早道かもしれません。