「人材確保のために何をすべきか」 セミナー

 

先日、日本倉庫協会主催の「物流セミナー」の分科会において「人材確保のために何をすべきか」のテーマで、セミナー講師を務めました。

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日時:平成26年11月14日(金)
15:40-17:30
場所:名古屋観光ホテル

 

 

 

 

当セミナーは、大きく3つの構成で行いました。
「人材確保のために何をすべきか」

1.人材が確保できる会社は経営の見通しを立てた企業~経営戦略と人材戦略の連動」
2.多様な人材の活用
3.まとめ~高度化する経営力・マネジメント力

1.では、倉庫業界の内外の事業環境を概括し、先を見据えた経営戦略を描いた企業が、結果として人材を確保できるとお伝えしました。人口減少というマクロ状況の中、倉庫業界においては総出荷量の継続的な減少にもかかわらず倉庫業者数が増えていること(競争が激化していること)、物流の小口化、IT化、荷主のグローバル化、国内物流量の減少、Eコマースの拡大、大規模物流施設の増加等の変化の中にあります。

このように変化していくビジネス環境下のなか、各企業は経営の方向性の選択肢として、以下の方向性を模索する必要があるようです。

1)付加価値を付けた物流サービス(受注代行、流通加工、環境負荷低減等)や荷主サプライチェーンにおける最適化対応、3PL化や総合物流化を行うことで、新しい価値を今まで以上に提供していくこと

2)業務の集約、あるいはM&Aのように規模を拡大して効率化を図ってコスト削減へ対
応すること

3)グローバ展開を図ること

この経営の方向性を見極めたうえで、必要となる人材像を描く必要があるとお伝えしました。求人広告の内容をよくする、給与を上げる、などの「小手先」の対策ではなく、抜本的な対策、つまり、どのような経営方針をすすめていくべきかを見定める必要がある。言い換えれば、経営戦略と人材戦略の連動が求められ、人材が確保できる会社は経営の見通しを立てた企業ということが言えると思います。

次に、2.多様な人材の活用では、既存の採用ルート以外で、上述の経営課題に対応できる人材を採用していく視点が必要であるとお伝えしました。具体的には、留学生、技能実習生、女性、障がい者、シニアといった人材のさらなる活用も求められるでしょう。

なお、セミナー参加者が一番興味のあったのは、若者の採用でした。

若者については、一般に高学歴化が進んでいるため、経営理念を明確にし、一人ひとりが成長を実感できるような職務拡充と拡大を行い、長期的なキャリアデザインの提供をしていくことが必要となると思われます。また、既卒の若者をターゲットにするのも大切であり、また、今は子育て期間における親の関与が深いため、就職活動においても、親に対する情報発信や相互コミュニケーションを行う機会を増やしていくことも必要であるとお伝えしました。

シニアについては65歳までの雇用延長にとどまらず、70歳、あるいは定年の廃止で対応する企業も増えています。人材不足といわれている介護や製造の業界ではその動きが早く、倉庫業界でもその取り組みが求められるだろうとお伝えしました。

それぞれの多様な人材を活用している具体的な企業事例のご紹介を行いました。

最後に、3.まとめ~高度化する経営力・マネジメント力、です。

近い将来、課題にきちんと対応した企業だけが生き残ると言われています。それは決して遠い先の話ではなく、高度なマネジメント力を日々努力・研鑽して挑戦する企業のみが、人材の確保が可能となり、成長を続けることができるのではないかとお伝えしました。

衆議院選挙の結果がまだわかりませんが、アベノミクスが進展していけばこうしたトレンドの加速度は増すのではないかと思っています。また、アベノミクスが進展せずとも、その大枠のトレンドは変わらないのではと思いますし、物流業界に限らず、どの業界にもこのトレンドは進展していくのではないかと思います。

(文責 野田さえ子)