「中小企業の海外展開」セミナー

だいぶ更新をせずにおりましたが、先日、(社)中小企業診断協会主催の中小企業診断士政策理論研修セミナーにて、「中小企業の海外展開」をテーマにセミナーを行いました。

参加者は、全員、中小企業診断士のみなさんで、二百人以上の聴衆…。
中小企業診断士の資格継続要件の一つとして、毎年1回、同様のセミナーを受講することが義務付けられているのです (あるいは論文審査という選択肢もありますが)。
本セミナーでは、少子高齢化、国内マーケットの縮小、中間所得者層の生活劣化などの現状を踏まえ、「中小企業こそ海外へ出よ!」という政策転換の背景説明や、中小企業が海外展開を果たすためにどのような支援手順、ノウハウが必要かという実践的なポイントの解説、政府の支援策解説を行いました。

参加者は全員、中小企業診断士。とはいっても、独立して中小企業に対する経営コンサルティングを行っている人は一部。多くは、大企業にお勤めの方、中小企業経営者・スタッフ、金融機関関係者、中小企業を支援する公的機関職員などです。

セミナーの途中で、二百数十名の参加者の方に、現在携わっている業務および関連企業の業務において、国際的な取引(輸出入)・業務や生産委託・直接投資などの国際的な業務に関連している人に手を挙げていただいたところ、7-8割の方が挙手されていました。

また、その中で販路としての欧米、製造拠点としてのアジア・東南アジアとの取引を挙げた方が、かなりいらっしゃいました。中東は十名以下程度、アフリカは皆無でした。(もちろん、恥ずかしくて手を挙げていらっしゃらない方もおられるかと思いますが…)

こうして、幅広い分野の方が集まる場においても、国際化がまったなしに迫ってきているのを感じます。

日時:平成23年7月16日(土) 14:10~15:10
場所:愛知県女性総合センター ウィルあいち
テーマ:「中小企業の海外展開」 中小企業診断士 政策理論研修

「異文化環境下での仕事の進め方」

あけましておめでとうございます。

アナウンスが遅れましたが、2011年2月に大阪でセミナーが開かれ、講師として招かれています。

テーマは「異文化環境下での仕事の進め方」。

ツボを押さえるため、3つのスキルに絞りました。

1.異文化環境で求められるコアスキル
2.コミュニケーションスキル
3.問題解決力

日時:平成23年2月10日(木) 13:00~17:00
会場:NEC関西ビル38階 ユーザー会サロン
参加費:無料、NUA会員以外の方は参加費2,000円

申込方法:関西NUE事務局のホームページからどうぞ。

<概要>
異文化・多国籍の人々とのビジネスをうまくすすめていくには、具体的にどんな能力が必要なのでしょうか?日本でのビジネスの進め方とどのようにちがうのでしょうか?
多くの企業で実際によく経験する事例の分析や多様な演習を通して、異文化環境で求められるコアスキル、異文化コミュニケーションスキル、問題解決スキルを磨きます。

<スケジュール>
13:00~14:20
1.異文化環境で求められるコアスキルとは?
■アイスブレーク: 異なる価値観に対する自分の反応
■異文化環境で求められるコアスキルとは?
・異なる価値観がぶつかる時何が起こるか(事例理解)
事例(1)台湾での出来事、事例(2)アフリカ駐在者の場合
・4つの典型的な異文化への反応(演習)
・価値観の多様性を理解するための「ほめ方」演習
・異文化環境で高いパフォーマンスを発揮する6つのコアスキルとは?
・何故、グローバルスキルは海外に赴任しなくても求められるのか?

14:30~15:30
2.異文化コミュニケーションスキルを磨く
■何故、異文化コミュニケーションは難しいのか?
語学だけの問題じゃない、大きな問題とは?
■実践!価値観の異なる人とのダイヤログを引き出すためのテクニック 演習1:“以心伝心”をやめよう→ 数値化・行動のブレークダウン
背景、目的の説明
演習2:うまい自己主張の仕方:DIEC方法、わたし文、対話的質問法

15:40~17:00
3.異文化環境における問題解決方法
■異文化環境における解決方法とは? RADAR分析
■日本人が陥りやすいトラブル事例分析
・“注意”の仕方は要注意!注意の仕方ひとつで孤立する日本人
・時間と準備についての誤解
・ホウレンソウ?リンギ?
・「謝罪」および顧客との関係性の違い
・品質管理の考え方の違い
■実践!トラブルシューティング(あるSEの場合:RADAR分析)

ダイバーシティ・マネジメント 研修 (セミナー)

2010年8月27日(金)、日本一暑いといわれる岐阜県多治見市にて「ダイバーシティ・マネージメント」をテーマにした講義、およびワークショップのファシリテーターとして行ってまいりました。

これは、岐阜県・岐阜県工業会が主催する、次世代技術経営者育成を目的とした少数精鋭・合宿型の研修で、「賢材塾」とよばれています。
技術のわかる経営者、経営のわかる技術者を育成する講座。

同講座のコーディネーターでいらっしゃる情報文明文化研究所の角行之氏がおっしゃるには、講座のコアとなっているテーマは「コンピタンス」。これがなければ生き残れない、とおっしゃることには非常に説得力があります。

今年で第6回を迎える人気の講座だそうです。

「賢材塾」の全体プログラムは、こちらのサイトから見ることができます。

同塾に参加されている方々は、IT業界、製造業界、医療、金融と多種多様でしたが、さまざまな視点から多様性のある人材をどう活用するのかという「ダイバーシティ・マネジメント」のテーマにとりくみました。

外国人、女性、高齢者、若者、障がい者。こうした多種多様な能力を持つ人材をうまく取り込み、真に活用していくことが次世代リーダーには必要となってきています。

このため、

講座の構成としては、
1)ダイバーシティ・マネジメントとは何か
2)なぜ日本で必要となっているのか
3)どのようにダイバーシティ・マネジメントを推進したらよいかの3部構成としました。

2)なぜ必要となっているのか、という部分を実感をもって考えていただきたいと思い、
ダイバーシティ・マネジメントが必要となってきている時代的背景の分析を自社のおかれている環境と比較して、分析してもらいました。

また、そうしたトリガー(引き金)に対して、どのようなレベルで会社が対応しているのか、というのを12事象の中から、現在の自社の取り組み、今後どのような方向で取り組んでいくべきかを選び、「見える化」する作業も行います。

後半では、ダイバーシティ・マネジメントの推進に失敗した事例と成功している事例とを対比し、失敗事例の改革案を立案してもらうというグループワークに挑戦していただきました。

アウトプットとして各グループにお願いしたのは、成功事例の取り組み内容の分析、および失敗事例の改善事例の立案の2つ。

時間に限りがあったため、みなさん、時間におわれながらも一生懸命にアウトプットを出してくださいました。

なお、成功事例としては、INAX社とニフコ社を取り上げました。

また、高齢者活用としては、昭芝製作所、障がい者活用としては日本理化学工業をケースとして、これは時間がないため、参考資料として配布しました。

技術者向けの研修ということで、「外国人の活用」は身近であっても、「女性の活用」はまだ身近なテーマではなかったかもしれません。

高齢者から若者世代への技術伝承という課題、つまり「技術は目で盗むものだ。就業時間が終わっても研修内容が終わるまで続けるものだ」というシニア層と、「1を聞いて1しか学ばない、ワークよりライフが大切な若者」といった、価値観が異なる両者のマネジメントというテーマのほうが差し迫った課題を感じている企業の方もいらっしゃいました。

技術者の異文化摩擦(プロセス指向と結果指向)

現在は、IT関係の方を始め、SEやあるいはハードの技術者の方々、が海外との顧客、ベンダー、あるいは海外チームの同僚達と仕事をこなす事例が増えてきました。

こうした中で、技術的な話は通じるものの、基本的な考え方の違い、コミュニケーションの違いによるトラブルをよく耳にします。

特に多いのが、コミュニケーションや問題解決の方法に際して、日本人独特の嗜好性があるということを事前に把握していないケースです。

そのトラブルの原因をさぐっていくと、よくあるのが、プロセス指向か結果指向かという考え方・行動形態の違いによるものが多く見られれます。

プロセス指向は、その行為のプロセスを重視するもの。
結果指向は、その行為の結果を重視するものです。

日本人として日本で教育を受けた人は、個人・年代にもよりますが、相対的にプロセスを重要視する方が多いです。

具体的には、コミュニケーション形態としては、報告・連絡・相談を重視し、コミュニケーションとして、結果指向の文化圏の方々よりも、その頻度が多く、また多い状態を「よし」とします。

ここで、日本人チームから出されるクレームは、相手(Non-Japanese)がホウ・レン・ソウをしてくれない、ということです。たとえ、「報告をしてほしい」という伝達を相手に行っても、日本人が想定する「報告・相談・連絡」の概念(コンセプト)の説明、定義を明確にしなければ相手には全く伝わりません。伝わっていない状態が恒常化すると、それがさらに大きな異文化摩擦となって対立が激しくなるということがよくおこります。

なお、日本人がこうした「行為のプロセスが正しく行われること」を非常に重要視している事例はほかにもあります。新入社員なら、誰でもが最初に受ける研修に、名刺の交換方法があります。この名刺を渡すという行為に、正しいプロセスを重視するのは、日本的であり、成果重視の価値観を持つ人からは不思議に思われる行為となります。(ほかにも、茶道や柔道など、日本にはこうした「型」を重要視する思想があるかと思われます。)

閑話休題。

技術者の話に戻りましょう。

たとえば、不具合の生じた製品があった場合、どうしてその問題が出るにいたったかプロセスを究明したがる日本人技術者と、きちんとテストを行って問題が出ていないんだからよいんだとするカウンター・パートの間で非難の応酬合戦が繰り広げられている事例があります。
これは、上述の問題解決の考え方・指向性によるものです。

この場合、どのように解決したらよいのでしょうか。
一番効果的なのは、技術者の異文化コミュニケーション能力を高めることですが、それには、やはり考え方の違いを、あらかじめ異文化理解研修としてお互いにそうしたコンセプトを入れておくことが非常に効果的です。

こうした研修の投資効果は、チーム結成時に行うことが一番高いものです。

技術者研修にも異文化コミュニケーションが求めらる時代。

では、どうしたら技術者の異文化コミュニケーション能力を高めることができるのでしょうか。

企業人は、学生と比較して、「学ぶためだけの」時間が限られているもの。

まずは、大学の講座等のように「異文化コミュニケーション論」を学ぶのではなく、理論に裏付けられてはいるが、しかし、知識だけではなく企業の実際の事例に対応できる力をつけるための実践的な異文化コミュニケーションのトレーニングが求められていると思います。

中国労働法セミナー「労働紛争の法的解決」セミナー

昨日、平成22年3月11日(木)に、愛知県弁護士会主催の中国労働法セミナー「労働紛争の法的解決」セミナーに参加してきました。

セミナーといっても、リソース・パースンとしてではなく、勉強する側で参加させていただきました。仕事柄、多くのセミナーに参加させていただきますが、非常にためになります。

さて、今回は上海にある法律事務所「錦天城法律事務所」のシニアパートナーである李培良弁護士が講師として招かれました。

テーマは主に以下のとおり。

1.中国労働争議の現状
2.中国労働争議解決に関する法律源泉
3. 労働争議解決のプロセス
4.実務事例の紹介

日本でも労働紛争の案件数は上昇していますが、中国では、1995年には3万件、2006年には31万件、2007年には35万件、2008年には69万件と倍増しています。特に、労働契約法の施行後が急増しているようです。

特に印象に残ったのは、やはり事例の部分です。

現在訴訟の前の段階の、仲裁には、2008年5月より仲裁費用が一銭もかからないとのことです。
このため、「ダメもと」覚悟で、不利であっても(法律の素人の私からみても、それは認められないのじゃない?と思える項目でさえも)、コストがかからないので、とりあえず仲裁裁決のテーブルにのせようとする個人が非常に増えきているそうです。

一時のブームは過ぎ去ったにしろ、中国進出を図る企業はまだまだいらっしゃいます。

海外進出の際には、コンプライアンスをきちんとするためにも中国の労働法規の理解が求められていると痛感いたしました。または、自分で理解するのが難しい場合、現地法律の専門家との顧問契約が求められていると思います。おそらく信頼できる専門家に依頼するほうがよいかと思われます。

なお、法律の源泉については、以下のとおり。
1.中華人民共和国憲法
2.労働法規 「労働法」「労働契約法」「組合法」「労働紛争調停仲裁法」
3.労働行政法規 :「工傷保険条例」「企業労働争議処理条例」などなど
4.労働規章(国務院各部門による):「労働部労働契約制度実施に関する若干問題の通知」など
5.地方性労働法規(各地方政府による):例)「上海市工傷保険実施弁法」など

5.にいたっては、各地方自治体により指導意見が異なる場合があり、やはり現地法律の専門家の活用を考えたほうがよいかと思われました。

いずれにしても、マネジメント上、就業規則をどのように定めるかという点が非常に重要になってくるかと思われます。これについても、現地の専門家と、解釈のわかれることのないよう、法令順守された規則を作られることが重要かと思われます。

弁護士の顧問契約は、各法律事務所および担当弁護士の経験・スキルによって変動するようですが、政府指導価格があるそうで、タイムチャージの場合3000元@時間程度だということです。また、訴訟については、各法律事務所ごとに異なり、成果報酬式のものや、そうでないものがあるようで、争われている金額の何十パーセントということになっているようです。

就業規則についてや、これもケースバイケースですが、何千元~1万元ぐらいの間だそうです。

信頼できる法律事務所をご選定されるのが早道かもしれません。

「ため口」をきいてしまう留学生新卒採用の教育とは

現在、とある会社に新卒採用された中国からの留学生の研修を実施しています。

中国の留学生を営業として採用することについて、日本人の10人が10人とも「日本の企業を顧客先とした営業での採用はやめたほうがよい」と言われたそうです。知り合いの中国人からは、10人のうち8人がやめたほうがよい、と言われたそうです。

それでもそこの会社の社長様は、可能性を信じて、採用しました。ところが、やはりトラブルが生じてきたということです。(ビジネス的な戦略といてはかなり先見性のある選択をしたと思われ、この人材を生かしきれないことは大変もったいないことなのですが…。)

お話をよく伺うと、日本の顧客とサプライヤーとの関係の違いや、営業の仕事内容の解釈の違い、ビジネスマナー、時間に対する感覚の違い、営業として必要な大切な表現、「あいまいにNO」という言い方など、きちんと教えていないことにより、社内あるいは社外との人間との間に軋轢が生じてきているようです。

特に難しいのが、先輩・後輩、目上・目下、顧客・自分といった、上下関係をきちんと理解することに苦労されています。儒教の影響の強さと、その影響がビジネス関係でどのように表れているのか、日本人側がきちんと教えることが難しいのが原因のようです。

逆に、これを言い換えれば、そうした違いを最初からきちんと教育し、トレーニングを積めば解決できることが多いことがわかります。

よく出てくるのが、「うん」「うん」という言葉で社内あるいは社外の人間に返事をしてしまい、「ため口を聞いていて失礼だ」と相手の日本人が怒ってしまう場合があります。

中国語でうなづくとき「オン オン」という言葉があるようですが、どうも母語が残ってしまい、「うん」「うん」と答えてしまうことが多いようです。これは日本人にとっては、くだけた表現で「ため口」ととられてしまい、心象を悪くしているようです。この心象を悪くしていることを、日本人が本人にあまり指摘しないか、あるいは指摘しても怒ってしまうか(理由を説明しないか)、そのどちらかにより、関係が悪化しているということも散見されます。「うん、うん」という言葉を使っている本人も、その言葉の与える影響の大きさに気づいていないことが多いのも問題を悪化させる原因の一つです。

これもきちんと教えると、心象もよくなり、社内・社外の人間関係の構築をスムーズにする第一歩となっています。

しかり方

世界中たいていありとあらゆるお国の人から嫌われる日本人の行動のワースト1は、実は「しかり方」なんです。(なお、統計調査の結果もでています。)

いろんな外国人スタッフとお会いして、何が閉口したか聞くとかならずこれを挙げられます。
また、海外赴任をされた日本人をお会いすると、これをやってしまって、最初に手痛い失敗をしてしまった、とおっしゃる方が多いのも事実です。

今日の日本経済新聞の11版の「私の課長時代」という人気のコラムにも、カカクコム社長の田中実氏がやはり似たようなコメントをされていました。

日本人のやってしまいがちな、しかり方とは?

それは人前で注意をすることです。

えっ、それがなんでダメなんですか?とよく問われますが、手痛い経験をされた方なら、ことの重要性がよくおわかりだと思います。

ちなみに、カカクコム社長の田中氏の場合、「イライラして、しかることもありましたが、台湾人はプライドが高い。人前でしかると、次の賞与が出るのをまって辞めていく人もいました」、と書かれてありました。

しかし、これは台湾に限ったことではありません。

外国人スタッフは、まずは「ほめらる」文化にいる方が多く、また、注意されるのは人前ではなく個別に行われる場合が圧倒的に多いのです。

ちなみに私の知り合いに、スリランカに赴任されて秘書に対してこれをやってしまい、職場中総スカンから始めなければならなかったとこぼしている人もいました。

韓国のサムスン電子に品質管理のアドバイザー(役員)として赴任された吉川良三氏の著書「神風(シンパラム)がわく韓国(くに)」に、やはり「人前叱責」による手痛い目にあった経験が述べられてあります。

また、日本企業で働く日系ブラジル人においても、日本人のこの「しかり方」にはブーイングを表しています。(参考文献:西田ひろ子編「日本企業では働く日系ブラジル人と日本人の間の異文化コミュニケーション摩擦」)

よく小学校の教室で、先生にしかられるのが当たり前の日本人。しかられてナンボの日本人には少し理解しにくいコンセプトですが、「人前でしからなない」を海外赴任前にはキモに銘じていかれることをおすすめします。

いったん悪化した関係は、なかなか挽回しにくいもの。

最初から、やってはいけないことを知っていくのか、知らないで手痛い目にあって学ぶのか、どちらがよいかはその人の判断によるかと思いますが、少なくとも余分なエネルギーは別の重要なことにとっておくほうがよいように思えます。

私たちのセミナーや研修メニューでは、この点を必ず含めるようにしております。

研修生・技能実習生をマネージするコミュニケーションのコツ

外国人スタッフを受け入れる企業の皆さまが、よくご相談される事項に、「すごくまじめな留学生で、日本人のお客さん受けもよいし、日本人っぽいから採用してみたんだが、1年たつとやっぱり違っていた。」というものが多いです。なんとか、外国人スタッフに日本企業独特のやり方に慣れてほしい、という種類の相談です。

しかし、よくお話を伺うと、受け入れる日本人側もきちんとした業務指示を相手にわかるように出していない事例が非常に多いことがわかってきます。

外国人のスタッフへの研修からまず入られるのがよいかと思いますが、問題の解決には日本人のグローバル化対応、特にコミュニケーションのグローバル化対応が課題なようです。とはいっても、まずは日本語で明確に指示を出すというところが重要な要素です。

では、具体的にどうすればよいのでしょうか。

非常に好評だったのが、業務指示を外国人にわかるように出す演習問題です。実は、これは昨年、研修生・技能実習生の第一次受け入れ機関が開催したセミナーにも取り入れたのですが、好評でした。

このセミナーは、「研修生・技能実習生をマネージするコミュニケーションのコツ~やってはいけないこと、やるべきこと」というタイトルで、企業経営者を対象にしたセミナーが新宿ワシントンホテル(主催:関東情報産業協同組合)で開催されたものです。

こちらのセミナーで取り上げたのが、「きれいにしてください」という業務指示を、外国人にわかるように言い換えるエクササイズです。

「きれいに」といった形容詞は、価値基準が異なる人には理解されにくい表現で、誤解を生じやす表現です。 人によって、どの程度をもって「きれい」と感じるのか、非常に主観的なものさしで、明確に伝わらないからです。
そこで、形容詞をやめ、具体的な行動に分解し、数値をつかってあらわします。

実際にやっていただきましたが、上手な方は20の行動に分解し、明確な指示出しができるようになってきました。

また、このエクセサイズのポイントは、もうひとつあります。「きれいにしてください」という業務指示を出した背景や目的を説明してから、具体的な行動・数値化で業務指示を行うという点です。

外国人スタッフと接すると、どの国籍の人も(私の知りうる限りでは、中国、フィリピン、インド、ブラジルなど)、日本人は指示出しの目的や背景を私たちにはまったく説明してくれない、と不満の声をあげています。

業務指示を出した背景やその目的をきちんと説明してあげる、というのは、「以心伝心」でこれまでうまくコミュニケーションがなりたっていた日本人どおしの会話で慣れてきている日本人には、よくわかりにくいポイントですが、大切な視点です。

「外国人を雇用する企業の経営診断手法」セミナー終了

こんにちは。やっと、重い腰をあげて、今日からブログを開設いたしました。

外国人を活用する企業向けのコンサルティングおよび研修を行っております、海外人財ネットの野田さえ子です。

日々の業務から、外国人の活用を考えていくうえでヒントとなりそうな、タイムリーなニュースをお届けしようと、業務の「つぶやき」ブログを始めることにしました。

さっそくですが、少し堅い話題から。

平成22年1月22日(金)、名古屋駅前のWINCあいちにて、「外国人を雇用する企業の経営診断手法」のセミナーが無事、終了いたしました。

これは、(社)中小企業診断協会における調査・研究事業の一環で実施され、同協会の愛知県支部の平成21年度の調査研究として、国際ビジネス研究会が主体となり、調査を行い、同日、報告会が行われたのが趣旨です。

40名以上の参加者がおり、このテーマの関心の高さがうかがえます。セミナー参加者は、中小企業の経営コンサルタントである中小企業診断士、外国人を専門とする行政書士、社会保険労務士、弁護士といった、専門家向けのセミナーとなりました。

実際に企業に対して、外国人活用のためのコンサルティング事例の紹介(型枠大工工事業、電気設備製造業、IT関連業)、および外国人を多く活用している業界の企業の診断ポイントをお話させていただきました。

質疑応答・ディスカッションでは、外国人人材の権利意識の向上と経営者の意識改革の必要性や、実際に留学生を採用して高度人材として活用している企業の事例など、具体的で実践的な話が多くでました。

外国人を雇用している企業では、日々の業務におわれ、見えないところで問題が徐々に蓄積してしまい、ある時期になって大爆発を抱えてしまったというケースが見られます。ことが大きくなる前にどういう対策が必要となるのか、事前の対策として、また採用・初期の教育投資が一番コスト・パフォーマンスが高い、ということがわかるセミナーだったかと思います。

外国人スタッフのマネージメントをきちんとしておくことは、実は、日本人の社員同士「何を考えているかわからない」、「コミュニケーションが通じない」、「以心伝心がわからない」といわれる、新世代の若者たち、あるいは、まったく異なる価値観をもつ女性たち、そうした日本人同士の人材マネージメントの成功に通じる道でもあります。

きちんと対処しないと、さっさかやめてしまう外国人も若い日本人も、共通する行動様式をもっていると思います。