日本人の謝罪文化を知ることの大切さ

外国人を雇用している企業の方から、「外国人は謝らない」という話をよく聞きます。先日もある企業の方から、同じような話を聞きました。このような話を聞くたびに、外国人に日本語や日本のビジネスマナーを教える立場としては、外国人だけでなく、日本人側にも日本の謝罪文化について考えてもらいたいと強く思います。

日本の謝罪文化は、他の国と違います。日本人は「謝罪」と「賠償・責任を負うこと」を別のものと考えています。ですから、何か事が起きた時、たとえ自分に非がなかったとしても、先ずは「すみません」と言うことがあります。それは、「お互い様」(次は自分かもしれない)という考えが関係していると言われています。しかし、外国の謝罪文化は違います。「謝罪=非を認める=責任を負う」という考え方です。

このように謝罪に対する考え方が異なるので、冒頭に書いた通り、日本人は外国人が「すみません」を言わないことに対して不満を抱きます。

一方で、外国人は「日本人は言葉だけで行動が伴わない」、「すぐに『すみません』と言う」「なぜこの状況でI’m sorryと言うんだ?」など、日本人の言う「すみません」に対して、不満や疑問を抱きます。

「すみません」は、コミュニケーションの潤滑油と考えている日本人。だからこそ、日本語が流暢な外国人が「すみません」を言わないと、「なぜ日本語が上手なのにすみませんが言えないのだ」と日本人から誤解を受け、場合によってはその人の評価が下がってしまうことがあります。

「すみません」は日本人の考え方や文化を非常に象徴している言葉です。言葉の意味を教えるだけでなく、なぜこのように考えるか、その文化的背景をきちんと伝えることが、外国人スタッフと日本人スタッフの摩擦を減らす第一歩だと思います。