「ため口」をきいてしまう留学生新卒採用の教育とは

現在、とある会社に新卒採用された中国からの留学生の研修を実施しています。

中国の留学生を営業として採用することについて、日本人の10人が10人とも「日本の企業を顧客先とした営業での採用はやめたほうがよい」と言われたそうです。知り合いの中国人からは、10人のうち8人がやめたほうがよい、と言われたそうです。

それでもそこの会社の社長様は、可能性を信じて、採用しました。ところが、やはりトラブルが生じてきたということです。(ビジネス的な戦略といてはかなり先見性のある選択をしたと思われ、この人材を生かしきれないことは大変もったいないことなのですが…。)

お話をよく伺うと、日本の顧客とサプライヤーとの関係の違いや、営業の仕事内容の解釈の違い、ビジネスマナー、時間に対する感覚の違い、営業として必要な大切な表現、「あいまいにNO」という言い方など、きちんと教えていないことにより、社内あるいは社外との人間との間に軋轢が生じてきているようです。

特に難しいのが、先輩・後輩、目上・目下、顧客・自分といった、上下関係をきちんと理解することに苦労されています。儒教の影響の強さと、その影響がビジネス関係でどのように表れているのか、日本人側がきちんと教えることが難しいのが原因のようです。

逆に、これを言い換えれば、そうした違いを最初からきちんと教育し、トレーニングを積めば解決できることが多いことがわかります。

よく出てくるのが、「うん」「うん」という言葉で社内あるいは社外の人間に返事をしてしまい、「ため口を聞いていて失礼だ」と相手の日本人が怒ってしまう場合があります。

中国語でうなづくとき「オン オン」という言葉があるようですが、どうも母語が残ってしまい、「うん」「うん」と答えてしまうことが多いようです。これは日本人にとっては、くだけた表現で「ため口」ととられてしまい、心象を悪くしているようです。この心象を悪くしていることを、日本人が本人にあまり指摘しないか、あるいは指摘しても怒ってしまうか(理由を説明しないか)、そのどちらかにより、関係が悪化しているということも散見されます。「うん、うん」という言葉を使っている本人も、その言葉の与える影響の大きさに気づいていないことが多いのも問題を悪化させる原因の一つです。

これもきちんと教えると、心象もよくなり、社内・社外の人間関係の構築をスムーズにする第一歩となっています。